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遺留分に関するメモ その3

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遺留分に関するメモ その3

 今回は、遺留分減殺請求権の実際の行使方法(調停・訴訟)について説明させて戴きます。

 遺留分の行使方法ですが、遺留分権利者は、遺留分を侵害する遺贈や贈与に対して、条文上(1031条)「減殺を請求することができる。」とされています。
 この「減殺を請求する」ということの法的性質等の問題はありますが、それらの議論は学者さんにお任せして、要はどういう行動をとれば良いかと言いますと、遺贈や贈与によって遺留分を侵害した者(簡単に言えば多くを相続・贈与を受けた者)に対して「遺留分減殺の請求をします。」という通知(意思表示)をすれば足ります。なお、減殺の対象には順序が定められており、まずは遺贈、その後生前贈与となります(1033条)。

 意思表示後、侵害した人と協議を行って遺留分相当額の財産を受け取ることができれば、円満解決となりますが、諸事情から話し合いでの解決が難しい場合は、家庭裁判所へ調停を申し立てることになります。
 遺留分についての紛争は家庭に関する事件なので、原則として訴訟に先立って調停を申し立てる必要があるからです(調停前置・家事事件手続法257条・244条)。但し、実際には遺留分事件の法的性質が共有物分割となりますので、直接地方裁判所に訴え提起しても、調停に付されず訴訟が進行することもあります。
 調停では、調停委員を交えての話し合いとなります。遺留分の紛争は遺産分割のそれと異なり審判の対象とはなりませんので、調停での話し合いで決着がつかなければ一般的な民事訴訟による解決方法をとることになります。
 
 次に、遺留分に基づく訴訟ですが、法的には遺留分の減殺請求の意思表示によってその効果(減殺の効果)が生じていることになりますので、その効果が発生したことを前提にして、不動産であれば所有権(共有持分)の登記・引渡請求、物であれば引渡請求、金銭であれば支払いを求める請求訴訟を提起することになります。
 これに対して、請求を受けた側(被告となりますね。)は、遺留分相当額を弁償して不動産や物の登記・引渡請求を免れることができます(1041条)。この選択権は受贈者や受遺者にありますので、遺留分権利者が、あれが欲しいと主張しても、受遺者側としては、相当額を払って拒否することができます。金額に争いがあれば、取りあえず供託をして、遺留分相当額がいくらかということを訴訟手続で確定していくことなります。
 ところで、ここでいう遺留分相当額ですが、遺留分算定の基礎となる相続財産の評価は相続開始時ですが、必ずしもその評価額を払えば訴訟となった場合でも足りるというものではありません。訴訟での支払いは、目的物の返還に代わる価格弁償と考えられていますので、相続開始時より目的物の価格が上がっていれば値上がり分も加えて支払う必要があることになります。相続財産に現金預金と不動産が存し、遺言が相続分の指定にとどまるときなど、やっかいな問題に発展してしまうかもしれませんね。

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